シカの屍体にやって来る動物たち 

森の中で偶然発見したメスジカの屍体に、2004年3月28日から5月30日まで自動撮影カメラを設置しました。シカの死体を食べにやって来た動物や昆虫、死体の変化の様子をご紹介します。

2004.3.28

雑木林で、メスジカの屍体を発見した。比較的若いメスのようで、左後足に傷がある以外は外傷もなく、体も痩せているわけでなく、死亡原因は不明である。臭いもほとんどなく、体もまだ柔らかいことから、死後まだ間もないようである。

2004.4.2 22:55

テンが現れた。しかし、赤外光が気になるのかビデオカメラの方を注視して、真ん中に写っているシカには目もくれずに走り去った。ビデオカメラの映像からのキャプチャー静止画です。動画はこちらから

2004.4.3

動物にかじられた形跡はない。ハエやシデムシがたかり始めている。腐敗臭もそれなりにしてきている。

2004.4.3

目にたかっているシデムシ。右がクロホシヒラタシデムシ、左がカバイロヒラタシデムシ。口からも出入りしていたので、体内にも入り込んでいると思われる。

2004.4.5 21:43

ハクビシンがやってきたがすぐ立ち去ったようである。センサーの設定が悪かったためか、ビデオの方には写らなかった。

2004.4.8 23:41

テンがやってきて、お尻にとりついたがすぐ立ち去ったようである。これもビデオの方には写っていない。

2004.4.10

屍体発見から2週間たったが、まだ動物にかじられたあとは残っていない。臭いが強くなってきている。

2004.4.10 21:03

ようやくテンがやってきて、屍体にとりつこうとしている。しかし、この後、カメラのフラッシュが光ったため、驚いて逃げ去った。動画はこちらから。

2004.4.10 21:03

右上の瞬間のスチルカメラの写真。この直後、カメラの作動に驚いて逃げる。

2004.4.10 21:05

再びすぐやってきて屍体にとりつこうとしている。

2004.4.10 22:45

再びテンがやってきて、肛門の部分にかじりついている。前足をかけ腸を引きずり出すようにして食べているようである。この前後、何度か現れてかじりつく様子が写っていた。動画はこちらから。

2004.4.11

肛門の部分から中の腸がかじられている。

2004.4.11

テンのような小型の動物にとって、シカの屍体の皮は厚すぎるのだろうか、歯が立つ柔らかい肛門の部分から腸をかじっている。

2004.4.11 ハネカクシ類(たぶんキバネセスジハネカクシ)

屍体にたかるハエのウジを食べているらしい。

2004.4.12 0:23

尻の部分から内蔵を喰おうとしている。

2004.4.12  00:51

近づくとカメラが動作するので警戒しながら近づいている。

テンが、カメラのフラッシュを警戒しているようなので、スチルカメラのスイッチは切って、ビデオカメラのみの撮影に切り替えた。

2004.4.18

テンによって頭の部分の皮がはがされている。尻のかじり跡は前の週以上には広がっていない。

2004.4.18

頭の部分の皮がはがされている。

バッテリーなどのチェックをおこなっている間、ヒガラやヤマガラがやってきて、毛を抜いて運んでいった。巣材に使うためであろう。

2004.4.19 20:53

ハクビシンが現れる。いきなり食べ出すのではなく、まず自分の首のあたりを屍体にこすりつけて、念入りに臭いづけ(マーキング)している。テンが食べた肛門周辺にテンの臭いが残っていて、それを気にしている可能性もある。

この後、23日までのハクビシンの動画はこちらからご覧ください。(ファイルサイズが大きいのでご注意ください)

2004.4.19 20:55

興奮してきたのか、肛門のあたりをくわえながら、臭いづけをしようと転げ回っている。この後、肛門のあたりの肉を食べ出して、9時15分くらいまでいて食べていた。

2004.4.20 21:44

翌日、再びハクビシンが現れ、やはり最初は屍体の上で転げ回るようにして、念入りにマーキングをして、それから食べ出す。10時17分まで間欠的に食べていた。

2004.4.21 1:21

夜中になって再び現れて、頭の方にかじりついている。

2004.4.21 22:54

翌晩もまず最初は、転げ回るようにして念入りにマーキングしている。

2004.4.21 23:02

お腹から腸をひきづり出して食べている。ハクビシンがシカの屍体を動かすたびに、シデムシの類が皮膚の上に湧き出すように出てきて動き回る。

2004.4.23 2:07

後足をくわえて持ち上げようとしている。

2004.4.23 21:30

この晩も現れると、まず始めにマーキングをしている。お腹のあたりの皮膚をくわえながら転げ回って臭いづけをしている。

2004.4.23 21:56

後足の太もものあたりの筋を引きだして食べている。

2004.4.23 23:37

後足の太もものあたりの筋を引きだして食べている。

2004.4.23 23:47

胸のあたりをくわえて皮膚を持ち上げてはがそうとしている。

2004.4.23 11:34

ヤマガラがやって来て、シカの毛を集めている。(矢印の交点)巣材にするものと思われる。

2004.4.25

お腹や後足の太ももあたりがだいぶ食べられている。皮膚の毛も脱落してきている。

2004.4.25

頭のまわりの皮膚はきれいに剥かれてしまっている。

2004.4.26 22:23

ハクビシンがかじりついている。

2004.4.27 0:21

タヌキがやってきた。

2004.4.28 0:57

ハクビシンが首のあたりをこすりつけてマーキングをしている。

2004.5.8

2004.5.16

白骨化が進んでいるが、頭蓋骨にはまだ皮が残っている。

2004.5.16

たくさんのヒラタシデムシの幼虫が脚にたかっている。(ワラジムシと記載してきましたが、研究者の方からヒラタシデムシの幼虫ではとご指摘を頂きました。ありがとうございました)

2004.5.23

ほぼ完全に白骨化した。

2004.5.30

哺乳動物が現れなくなったので、カメラ類は撤去した。